外傷性腎破裂による右腎摘出・腎機能障害で4,600万円の賠償獲得事案 - 名古屋の交通事故弁護士

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外傷性腎破裂による右腎摘出・腎機能障害で、製鉄所設備保全技術者の職業特性を考慮して4,600万円の賠償を獲得した事案

事故の概要と被害状況

被害者情報

性別

男性

年齢

40代

職業

製鉄所勤務の設備保全技術者(機械保全技能士資格所持、圧延設備・搬送設備の点検、故障対応、重量部品交換、夜間緊急対応を担当)

後遺障害等級

9級11号(胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの)

受傷部位

右腎破裂、後腹膜出血、右腎摘出術後、残存左腎機能低下(eGFR約58mL/分/1.73㎡)、易疲労感

事故の態様

名古屋市南区の交差点において、青信号で乗用車を直進中の被害者車両に、赤信号を無視した大型トラックが助手席側から衝突し、右側腹部をセンターコンソール付近に強打

賠償金額の比較

項目受任前受任後
保険会社からの提示・裁判1,400万円―
休業損害220万円520万円
入通院慰謝料150万円280万円
逸失利益650万円2,750万円
後遺障害慰謝料250万円690万円
医療費等を含む賠償総額1,400万円4,600万円

交通事故の状況

名古屋市南区の信号交差点において、青信号で乗用車を直進していた被害者車両に、赤信号を無視して交差道路から進入した大型トラックが助手席側から激しく衝突しました。被害者に過失はなく、過失割合は0:100です。衝突によって車体が大きく回転し、被害者はシートベルトで身体を固定された状態のまま右側腹部をセンターコンソール付近へ強く打ち付けました。救急搬送時から右側腹部痛と血圧低下があり、造影CTで右腎の深い裂創と大量の後腹膜出血が確認されました。止血処置を行っても循環状態が安定せず、右腎を温存することが困難であったため緊急で右腎摘出術が施行されました。

約1か月半の入院後に退院し、その後は腎臓内科で定期的に腎機能を確認しましたが、残存する左腎のeGFRは約58前後で推移し、以前より疲れやすく、暑熱環境下や長時間の身体作業では体調が悪化する状態が残りました。約1年2か月の治療・経過観察後、腎機能が安定した段階で症状固定となりました。

相談内容

被害者は製鉄所の設備保全部門で約20年間勤務し、圧延設備や大型搬送設備の定期点検、故障時の部品交換、モーターや減速機の取り外し、狭い設備内部での作業、夜間の緊急復旧などを担当していました。夏季には高温となる設備周辺で長時間作業することも多く、大量に発汗しながら重量工具を扱う身体負荷の高い職種でした。

事故後は会社の産業医と腎臓内科医の意見を踏まえ、高温環境での長時間作業、夜勤、重量物の反復運搬から外され、設備保全計画や部品発注を中心とする内勤業務へ配置転換されました。夜勤手当、時間外手当、現場作業手当が減少し、事故前と比較して年収は約25%低下しました。しかし、保険会社は「残った左腎で日常生活は自立している」「デスクワークは可能である」として逸失利益を限定し、腎臓を一つ失ったことと腎機能低下が現場技能職へ与える具体的影響を十分に評価していなかったため、弁護士に相談されました。

成果の概要

まず、事故直後の造影CT、手術記録、病理記録を取り寄せ、事故によって右腎が高度に損傷し、救命のため腎摘出が必要となった経過を整理しました。さらに退院後の血液検査を時系列で確認し、クレアチニン値とeGFRの推移から、右腎摘出後も残存腎機能が事故前の水準まで回復していないことを明確にしました。腎臓内科医の意見書には、一側腎を失っていること、残存腎のeGFRが50~70程度で安定していること、脱水や過度な身体負荷を避けながら長期的な腎機能管理が必要であることを具体的に記載してもらい、胸腹部臓器の機能障害として9級11号の認定を受けました。

その上で、事故前の設備保全業務について、作業標準書、夜勤表、資格記録、現場写真、上司の陳述書を提出し、高温環境、重量物取扱い、長時間の緊急作業が職務の中核であったことを立証しました。配置転換後の給与明細から、夜勤・時間外・現場手当の減少による現実の収入低下も示しました。一般的な9級の労働能力喪失率35%に加え、事故前職種への復帰が現実的に困難である職業特性を考慮すべきと主張し、逸失利益を大幅に増額しました。定期的な腎機能検査等も含めて損害を積み上げ、最終的に訴訟上の和解により4,600万円の賠償を獲得しました。

成果のポイント

  • ・腎損傷では、単に「腎臓を摘出した」という事実だけでなく、残存する腎臓の機能を継続的に評価することが重要です。事故前後のクレアチニン値、eGFR、尿検査等を時系列で整理し、腎機能がどの程度変化したのかを客観化する必要があります。
  • ・交通事故による高度の腎損傷では、造影CT、救急記録、手術記録が事故との因果関係を示す重要な資料になります。既往の腎疾患が問題とされる場合には、事故前の健康診断や血液検査も比較資料として有効です。
  • ・一側腎摘出後に通常の日常生活を送れていることと、事故前と同じ職業能力を維持できることは同じではありません。高温環境、重量物取扱い、夜勤など身体的負担が大きい職種では、実際の業務内容を詳細に分解して検討する必要があります。
  • ・製鉄・製造・建設・設備保全などの現場技能職では、基本給だけでなく、夜勤手当、危険作業手当、時間外手当等が収入の大きな割合を占めることがあります。配置転換後の各手当の減少を給与資料で示すことが、逸失利益を立証するうえで重要です。
  • ・保険会社から「もう一つの腎臓が機能しているから問題ない」と主張された場合でも、腎臓の亡失、残存腎機能、将来的な健康管理の必要性、実際の就労制限はそれぞれ別に評価する必要があります。
  • ・後遺障害等級だけから機械的に逸失利益を算定するのではなく、被害者が事故前に実際に行っていた仕事と、事故後に失った業務・手当・昇進可能性を具体的な資料によって示すことが適正な賠償につながります。