膝蓋骨粉砕骨折による膝関節機能障害と慢性疼痛で2900万円の賠償獲得事案 - 名古屋の交通事故弁護士

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膝蓋骨粉砕骨折による膝関節機能障害と慢性疼痛で、長距離トラック運転手の職業特性を考慮して2,900万円の賠償を獲得した事案

事故の概要と被害状況

被害者情報

性別

男性

年齢

40代

職業

運送会社勤務の長距離トラック運転手(大型自動車第一種運転免許・けん引免許所持)

後遺障害等級

10級11号、12級13号 併合9級

受傷部位

右膝蓋骨粉砕骨折(観血的整復固定後の骨片癒合不全)、右膝関節可動域制限、右膝関節伸展機構不全、右膝慢性疼痛、外傷性膝関節症

事故の態様

名古屋市中川区の幹線道路において、信号待ち停車中の被害者運転車両に、脇見運転の加害大型車両が高速で追突

賠償金額の比較

項目受任前受任後
保険会社からの提示・裁判1,050万円
休業損害220万円480万円
入通院慰謝料150万円290万円
逸失利益480万円1,650万円
後遺障害慰謝料200万円690万円
医療費等を含む賠償総額1,050万円2,900万円

交通事故の状況

名古屋市中川区の幹線道路において、赤信号で停車中の被害者運転の中型トラックに、脇見運転のまま走行してきた加害大型トラックが減速することなく後方から追突しました。被害者に過失はなく、過失割合は0:100です。強い衝撃により被害者の身体は前方に強く投げ出され、運転席のインストルメントパネルに右膝が激突しました。

救急搬送先での膝関節レントゲンおよびCT検査で右膝蓋骨の粉砕骨折(5片以上に粉砕)が確認され、関節面の不整合が著明であったため、緊急手術(膝蓋骨観血的整復固定術・ワイヤリング法および締結バンド固定)が施行されました。

約4週間の入院後、約11か月間の通院リハビリを継続しましたが、骨片の一部に癒合不全が残存し、膝関節の伸展機構(大腿四頭筋から膝蓋腱へ至る伸展力の伝達系)に永続的な障害を残した状態で症状固定となりました。

相談内容

事故から約1年2か月が経過し、症状固定となった時点で保険会社から示談提示がありました。被害者は運送会社に勤務する長距離トラック運転手として、東海・関東・関西エリアを結ぶ長距離輸送業務に従事し、1運行あたり10〜14時間の長時間運転、貨物の積み降ろし作業、車両の日常点検、運行前後の車両周辺の歩行点検などを行っていました。

右膝関節の可動域制限と伸展機構の不全により、クラッチペダル操作(マニュアル車両)の踏み込み・踏み戻しが繰り返せなくなり、長時間の屈曲位での運転による疼痛増悪、貨物の積み降ろし時のしゃがみ込み・立ち上がり動作の困難、車両への乗降時の昇降動作の困難など、運転業務の根幹に支障が生じました。さらに、深夜・早朝の運行時に膝の疼痛で覚醒する不眠症状も出現しました。

しかし、保険会社の提示では、膝関節機能障害は認めたものの労働能力喪失率が10級の基準値(27%)にとどまり、長距離運転手という職業の身体的負荷の大きさが評価されず、また将来的な人工膝関節置換術の可能性も考慮されていなかったため、弁護士に相談されました。

成果の概要

まず、膝関節外科を専門とする整形外科医の協力を得て、右膝関節の可動域を精密に測定しました。屈曲が健側135度に対して患側65度、伸展が健側0度に対して患側マイナス10度(伸展制限)と健側の2分の1以下に制限されていることを記録し、10級11号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」の認定を受けました。

さらに、CT検査で膝蓋骨骨片の癒合不全と関節面の不整合を客観的に記録し、これらが慢性疼痛の器質的根拠であることを根拠として、右膝の慢性疼痛について12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の認定を受け、併合9級としました。

将来費用として、外傷性膝関節症の進行に伴う将来的な人工膝関節置換術費用(約180万円)と人工関節耐用年数(15〜20年)を踏まえた再置換術費用(約180万円)を積算し、約450万円の将来治療費を算定しました。

その上で、長距離トラック運転手という職業は、長時間のクラッチ操作、貨物の積み降ろし時のしゃがみ込み動作、車両乗降時の昇降動作、長距離運行による膝関節への持続的負荷など、健常な膝関節機能が業務継続の絶対条件であることを、運送会社の営業所長の陳述書、運行記録、車両整備記録、業務マニュアルにより詳細に立証しました。右膝の機能障害により長距離運行業務の継続が不可能となり、近距離配送業務への配置転換と給与25%減額が余儀なくされたことを明らかにし、併合9級の通常の労働能力喪失率(35%)を上回る45%の喪失率を主張しました。

膝関節機能障害と長距離運転手という職業特性を総合的に立証し、訴訟を提起して最終的に約2.8倍の2,900万円の賠償を獲得しました。

成果のポイント

  • ・膝蓋骨粉砕骨折による膝関節機能障害は、屈曲・伸展の各方向を精密に測定し、健側との比較で2分の1以下の制限を記録することで、12級から10級11号「機能に著しい障害」へと等級を引き上げることができます。
  • ・膝蓋骨骨折後の骨片癒合不全は、CT検査による骨片の不癒合像と関節面の不整合を客観的に記録することで、慢性疼痛の器質的根拠として12級13号の認定を確実に得ることができ、機能障害との併合により等級を繰り上げることができます。
  • ・長距離トラック運転手・タクシー運転手・バス運転手・配送ドライバーなど、長時間の運転姿勢と昇降動作・積み降ろし動作が業務の根幹をなす職業の場合、膝関節の機能障害は業務継続を直接困難にするものであり、運行記録・配置転換の事実・給与減額の証拠により、通常の等級基準を上回る労働能力喪失率を認めさせることができます。
  • ・追突事故による膝のダッシュボード打撃(インストルメントパネル外傷)では、衝撃の方向と膝関節への軸圧の作用メカニズムを救急搬送時のCT所見と関連付けて立証することで、膝蓋骨粉砕骨折と事故との因果関係を確実に証明できます。
  • ・膝蓋骨骨折後の外傷性膝関節症は、将来的な人工膝関節置換術の必要性が高度の蓋然性で予測されるため、専門医の意見書により1回目の置換術費用と人工関節耐用年数を踏まえた再置換術費用を将来治療費として積算することで、生涯にわたる医療費を適正に補償させることができます。
  • ・保険会社は膝蓋骨骨折を「骨片を固定すれば治る怪我」として軽視することがありますが、伸展機構不全・骨癒合不全・関節症変化を膝関節外科専門医の意見書とCT画像で多角的に立証することで、適正な等級認定と労働能力喪失率を獲得することが可能です。

担当弁護士 石田大輔