交通事故による胸椎骨折:被害者が知るべき後遺障害認定と賠償請求の全知識

監修:弁護士 石田 大輔
所属:愛知県弁護士会
2025.11.11
交通事故で背中を強打し、「胸椎骨折」と診断されたものの、保険会社から提示された金額に納得できない。痛みで仕事に支障が出ているのに、「画像で異常が見られない」と軽く扱われている。このような悩みを抱える被害者の方は少なくありません。
胸椎骨折は、背骨の真ん中部分(胸の高さ)の骨が折れる重大な怪我です。追突事故、正面衝突、バイク事故など、強い衝撃を受けた際に発生し、場合によっては下半身の麻痺や長期間にわたる激しい痛みをもたらします。見た目には分からない辛さがあり、周囲の理解を得にくいのも特徴です。
しかし、適切な知識を持ち、正しい対応をすることで、あなたの苦痛に見合った妥当な補償を受けることは十分可能です。実際に、当初は保険会社から数十万円の提示しか受けていなかった方が、専門家のサポートにより数百万円、場合によっては数千万円の補償を獲得したケースは数多く存在します。
本記事では、交通事故で胸椎骨折を負った被害者の方が、適切な補償を受けるために知っておくべき重要なポイントを、法律の専門用語をできるだけ使わず、分かりやすく解説します。
Contents
胸椎骨折とは?なぜ交通事故で起こるのか
胸椎骨折が起こるメカニズム
背骨は首から腰まで続く24個の骨(椎骨)でできています。そのうち、胸の高さにある12個の骨を「胸椎」と呼びます。ちょうど肋骨がついている部分の背骨です。胸椎は肋骨と一緒に胸郭を形成し、心臓や肺などの重要な臓器を守る役割を担っています。
交通事故では、以下のような状況で胸椎骨折が発生します。
追突事故や正面衝突の場合
シートベルトで体は固定されているのに、強い衝撃で体が前に折り曲げられます。この時、背骨の前側が潰れるように骨折します。これを「圧迫骨折」と呼び、胸椎骨折の中で最も多いタイプです。特に胸椎と腰椎の境目(第11〜12胸椎あたり)は力が集中しやすく、骨折しやすい場所です。
側面衝突の場合
横からの衝撃で体がねじれ、背骨に複雑な力がかかります。骨折だけでなく、背骨の中を通る神経(脊髄)を傷つけることもあります。
重大事故の場合
車外に投げ出されたり、大型車との衝突など、極めて強い衝撃を受けると、背骨の骨が砕けるように折れます(破裂骨折)。この場合、骨の破片が神経を圧迫し、下半身の麻痺を引き起こすことがあります。
私が担当したケースでは、高速道路を時速100キロで走行中に前の車に追突した男性が、シートベルトの圧力で第12胸椎を骨折しました。背骨の高さが40%も潰れていましたが、適切な検査と主張により、最終的に約2,200万円の補償を獲得しています。
胸椎骨折特有の症状
胸椎骨折の症状は、骨折の程度や神経の損傷具合により大きく異なります。
圧迫骨折の場合(最も多いタイプ)
- ・背中の激しい痛み(特に体を動かす時)
- ・深呼吸や咳をすると痛む
- ・長時間座っていられない
- ・横になっていても寝返りが打てない
- ・前かがみの姿勢ができない
- ・背中が丸くなってしまう(変形)
これらの症状は、事故直後が最も強く、徐々に軽減していきますが、完全に消えずに慢性的な痛みとして残ることがあります。特に、骨が潰れた状態で固まってしまうと、背中の変形や可動域の制限が永続的に残ります。
神経を傷つけた場合(脊髄損傷を伴う場合)
- ・両足が動かない、または動かしにくい(対麻痺)
- ・足の感覚がない、鈍い
- ・トイレのコントロールができない
- ・胸から下の感覚がおかしい
- ・足の筋肉が痩せてくる
胸椎レベルでの脊髄損傷では、首の神経は無事なため手は動きますが、両足に麻痺が出る「対麻痺」という状態になります。これは被害者の人生を完全に変えてしまう深刻な後遺症で、車椅子での生活を余儀なくされたり、常時または随時介護が必要になったりします。
事故直後から絶対にやるべきこと
必ず病院で詳しい検査を受ける
受けるべき検査の種類
- 1. レントゲン(X線)検査:骨折の有無を確認
- 2. CT検査:骨折の詳しい状態、骨片の位置を立体的に把握
- 3. MRI検査:神経や靭帯、椎間板の損傷を確認
胸椎骨折の診断で特に重要なのは、「骨折の程度」と「神経損傷の有無」を正確に把握することです。レントゲンだけでは十分ではなく、CT検査とMRI検査の両方を受けることが理想的です。
実際、私の経験では、レントゲンで見落とされた骨折がCT検査で発見されたケース、単純な圧迫骨折と思われていたものがMRI検査で靭帯損傷や脊髄浮腫が発見されたケースが複数あります。
痛みが続く場合や、足のしびれなど神経症状がある場合は、主治医に「CT検査とMRI検査を受けたい」としっかり伝えましょう。
胸椎骨折の治療方法
保存的治療(手術をしない治療)
神経症状がなく、背骨の安定性が保たれている場合は、以下の保存的治療を行います。
- 安静期間:受傷後2〜4週間は基本的に安静臥床
- コルセット装着:硬性コルセットを3〜6ヶ月装着し、背骨を固定
- 薬物療法:痛み止め、骨を強くする薬、神経の痛みを抑える薬
- 理学療法:痛みが落ち着いてからリハビリを開始
手術療法が必要な場合 以下のような場合は手術を検討します。
- ・神経症状がある(足のしびれ、筋力低下、麻痺など)
- ・背骨の骨が砕けて神経を圧迫している
- ・背骨が不安定で、動くと神経を傷つける危険がある
- ・骨の潰れ方が50%以上と高度
手術には「経皮的椎体形成術(BKP)」という比較的軽い手術から、「脊椎固定術」という背骨を金属で固定する大がかりな手術まであります。特に神経症状がある場合は、受傷後できるだけ早く(24〜48時間以内)手術を行うことが、神経機能の回復に重要です。
私が担当した43歳の女性は、第7〜9胸椎の複数箇所の骨折により、5つの背骨を金属で固定する手術を受けました。その結果、背中の動きが著しく制限され、8級2号の認定を受け、約3,800万円の補償を獲得しています。
脊髄損傷を伴う場合のリハビリテーション
脊髄損傷を伴う胸椎骨折では、早期からの集中的なリハビリテーションが極めて重要です。
急性期リハビリ(受傷後すぐ〜1ヶ月)
- ・関節が固まらないようにする運動
- ・床ずれ(褥瘡)の予防
- ・呼吸訓練
- ・血栓予防
回復期リハビリ(受傷後1〜6ヶ月)
- ・筋力を強化する訓練
- ・起き上がり、座る、立つ練習
- ・歩行訓練(可能な場合)
- ・車椅子の操作訓練
- ・トイレや着替えなど日常動作の訓練
この時期のリハビリの質と量が、最終的にどこまで回復するかを大きく左右します。適切なリハビリ施設で、専門スタッフによる訓練を受けることが重要です。
後遺障害等級認定:補償額を左右する最重要ポイント
後遺障害等級とは
治療を続けても完全には治らず、症状が残ってしまうことがあります。これを「後遺障害」と呼びます。後遺障害には重い順に1級から14級までの「等級」があり、この等級によって受け取れる補償額が劇的に変わります。
等級が重要な理由
- ・等級が1つ違うだけで、補償額が数百万円〜数千万円も変わる
- ・保険会社の提示する等級が必ずしも適切とは限らない
- ・専門家のサポートで等級が上がり、補償額が大幅に増えることがある
胸椎骨折で認められる主な等級
胸椎骨折では、主に以下の3つの観点から等級が認定されます。
1. 背骨の変形による等級
11級7号:脊柱に変形を残すもの
これは胸椎骨折で最も多く認定される等級です。以下の条件を満たす場合に認められます。
- ・骨が潰れて、元の高さの20%以上低くなっている
- ・背中が曲がってしまい、15度以上の変形がある(コブ角測定)
- ・レントゲンやCT画像で骨折・変形がはっきり確認できる
認められる補償の目安
- ・後遺障害慰謝料:420万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:20%
- ・保険会社提示額との差:約90万円(慰謝料のみでも)
実際の解決事例 私が担当した48歳の配送業の男性は、追突事故で第11〜12胸椎の圧迫骨折を負いました。骨がそれぞれ35%と30%潰れており、11級7号の認定を受けました。
年収520万円、あと19年働ける計算で、将来の収入減(逸失利益)約1,600万円と後遺障害慰謝料420万円、その他の損害を合わせて、合計約2,100万円の補償を獲得しています。
6級5号:脊柱に著しい変形を残すもの
より重度の変形がある場合に認定されます。
- ・2個以上の背骨が骨折し、背中が50度以上曲がっている
- ・1個の背骨が70%以上潰れている
- ・2個以上の背骨が50%以上潰れている
認められる補償の目安
- ・後遺障害慰謝料:1,180万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:67%
2. 背骨の動きが悪くなることによる等級
8級2号:脊柱に運動障害を残すもの
手術で背骨を金属で固定した場合や、骨折の影響で背中を曲げ伸ばしできる範囲が半分以下になった場合に認定されます。
具体的には、前屈・後屈・側屈の可動域を測定し、正常な人と比べて半分以下に制限されている必要があります。
認められる補償の目安
- ・後遺障害慰謝料:830万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:45%
実際の解決事例 私が担当した43歳の女性は、第7〜9胸椎の複数箇所の骨折により、背骨を金属で固定する大きな手術を受けました。手術範囲が広く、背中の動きが著しく制限され、8級2号の認定を受けました。
年収380万円で計算し、将来の収入減約2,900万円と後遺障害慰謝料830万円を合わせて、約3,800万円の補償を獲得しています。
3. 神経症状(脊髄損傷)による等級
胸椎骨折で脊髄を傷つけた場合、最も重い等級が認定されます。
別表第一 1級1号:常に介護を要するもの
高度の対麻痺(両足の完全麻痺)により、食事・排泄・入浴・着替えなど、日常生活のすべてに常時介護が必要な状態です。
- ・後遺障害慰謝料:2,800万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:100%
- ・さらに将来介護費が数千万円〜億単位で認められる
別表第一 2級1号:随時介護を要するもの
中等度の対麻痺により、日常生活の主要な動作に随時介護が必要な場合に認定されます。自力での移動が困難で、排泄や入浴に部分的な介助が必要な状態です。
- ・後遺障害慰謝料:2,370万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:100%
別表第二 5級2号:特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
不全対麻痺により、杖や装具を使って短距離の歩行は可能であるが、就労可能な職種が大きく制限される場合に認定されます。
- ・後遺障害慰謝料:1,400万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:79%
実際の解決事例 私が担当した36歳の男性は、大型トラックとの衝突で第9胸椎の破裂骨折と脊髄損傷を負いました。緊急手術と長期リハビリで歩行器での移動が可能になりましたが、両足の筋力低下と感覚障害が残りました。
5級2号の認定を受け、将来の収入減約8,200万円、後遺障害慰謝料1,400万円、将来必要な介護費約2,000万円を合わせて、約1億1,800万円の補償を獲得しています。
別表第二 7級4号:軽易な労務以外の労務に服することができないもの
不全対麻痺により、杖や装具を使って屋内歩行は自立しているが、階段昇降や長距離歩行が困難で、就労に相当な制限がある場合に認定されます。
- ・後遺障害慰謝料:1,000万円(裁判基準)
- ・労働能力の喪失:56%
複数の障害がある場合の「併合」
胸椎骨折では、一人の被害者に複数の障害が残ることがよくあります。例えば、「背骨の変形」と「背骨の動きの制限」の両方がある場合などです。このような場合、「併合」というルールで等級が上がります。
併合の例
- ・背骨の変形(11級7号)+ 背骨の動きの制限(12級相当)= 併合10級
- ・背骨の変形(11級7号)+ 神経根症状(12級13号)= 併合9級
併合により等級が上がると、補償額も大幅に増えます。私が担当した52歳の男性は、高速道路での多重衝突事故により、第12胸椎の圧迫骨折、肋骨多発骨折による胸郭変形、腰椎神経根症を負い、併合9級の認定を受けて約3,200万円の補償を獲得しています。
等級認定で損をしないための重要ポイント
1. 症状固定前に必要な検査をすべて受ける
症状固定(これ以上治療しても良くならない状態)の前に、以下の検査を必ず受けましょう。
- ・最新のレントゲン、CT、MRI検査
- ・背骨の動く範囲の測定(可動域測定)
- ・神経の検査(筋力測定、感覚検査、反射検査など)
- ・脊髄損傷がある場合は、ASIA評価(国際的な脊髄損傷の評価基準)
2. 後遺障害診断書の内容を確認する
医師が書く「後遺障害診断書」の内容が等級を左右します。以下の点を確認しましょう。
- ・あなたの辛い症状が具体的に書かれているか
- ・画像所見が詳しく記載されているか
- ・可動域の測定値が正確に記載されているか
- ・日常生活への影響が書かれているか
もし不十分な内容であれば、医師に追記をお願いするか、交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。
3. 納得できない等級には異議を申し立てる
「14級」と認定されたが実際はもっと症状が重い、「非該当(等級なし)」とされたが明らかに後遺症が残っている、といった場合、異議申し立てができます。
ただし、同じ資料で異議を申し立てても認められにくいため、新たな医学的証拠(追加のMRI検査、専門医の意見書など)を用意することが重要です。専門家のサポートがあると成功率が高まります。
受け取れる補償金額の詳細
補償金の内訳
交通事故の補償金は、大きく分けて以下の項目があります。
1. 治療費
入院費、手術費、薬代、リハビリ費用など、症状固定までの全ての医療費が対象です。保険会社が直接病院に支払うことが多いですが、打ち切られた後に自己負担した分も後で請求できます。
2. 入院雑費
入院中の日用品や栄養補給費用として、1日あたり1,500円が認められます。
3. 通院交通費
病院への往復にかかった交通費(電車、バス、タクシー代など)。タクシー代は、症状により公共交通機関の利用が困難な場合に認められます。
4. 休業損害
怪我で仕事を休んだり、収入が減った期間の補償です。
- 会社員:事故前3ヶ月の平均給与が基準
- 自営業:確定申告書の所得が基準
- 主婦:賃金統計の平均賃金が基準(実際に働いていなくても請求できます)
胸椎骨折では、入院期間だけでなく、退院後も痛みで仕事ができない期間が長くなることがあります。この期間の休業損害もしっかり請求しましょう。
5. 入通院慰謝料
治療期間中の精神的苦痛に対する補償です。
- 入院1ヶ月・通院6ヶ月の場合:約200万円
- 入院3ヶ月・通院9ヶ月の場合:約300万円 (裁判基準での目安)
6. 後遺障害慰謝料
後遺障害が残ったことへの精神的苦痛に対する補償で、等級により金額が決まります。
7. 逸失利益(いっしつりえき)
後遺障害により将来の収入が減ることへの補償です。これが最も高額になることが多いです。
計算式 年収 × 労働能力喪失率 × 働ける年数に応じた係数(ライプニッツ係数)
計算例:11級7号、40歳、年収500万円の場合 500万円 × 20%(労働能力喪失率) × 16.053(係数) = 約1,605万円
これに後遺障害慰謝料420万円、治療費、休業損害などを加えると、合計で2,000万円を超えることも珍しくありません。
8. 将来介護費(脊髄損傷の場合)
脊髄損傷で介護が必要になった場合、一生涯の介護費用を請求できます。
- 職業介護人(プロ):1日8,000円〜
- 近親者介護:1日6,000円〜8,000円
- 期間:平均余命まで
例えば、40歳で常時介護が必要になった場合、1日1万円 × 365日 × 40年分(係数で計算)= 数千万円〜1億円以上になることもあります。
保険会社の提示額に要注意
保険会社が最初に提示する金額は、多くの場合「自賠責基準」という最低限の基準で計算されています。しかし、裁判所が認める「裁判基準(弁護士基準)」で計算すると、金額が大きく変わります。
慰謝料の比較例
| 等級 | 自賠責基準 | 裁判基準 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 11級 | 331万円 | 420万円 | 89万円 |
| 8級 | 819万円 | 830万円 | 11万円 |
| 5級 | 1,574万円 | 1,400万円 | ※ |
※5級以上は別表第二の金額。介護を要する場合(別表第一)はさらに高額。
この差は慰謝料だけの話で、逸失利益の計算方法や労働能力喪失期間の考え方にも差があるため、実際の差額はさらに大きくなります。
交通事故に強い弁護士に相談すべき理由
胸椎骨折で弁護士が特に重要な理由
胸椎骨折は、他の怪我と比べて以下の特徴があるため、専門家のサポートが特に重要です。
1. 画像所見の正確な評価が必要
骨の潰れ具合(圧潰率)やコブ角の測定は、等級を左右する重要な要素です。医師が測定した数値が正確か、測定方法は適切か、専門的な判断が必要です。
2. 複数の等級の併合が考えられる
変形障害、運動障害、神経症状など、複数の観点から等級が認定される可能性があります。どの等級を主張すべきか、併合により上位等級を狙えるか、戦略的な判断が必要です。
3. 脊髄損傷の場合は特に高額
対麻痺などの脊髄損傷を伴う場合、将来介護費や住宅改造費など、特殊な損害項目が多数発生します。これらを漏れなく請求するには専門知識が不可欠です。
弁護士に依頼する具体的なメリット
1. 補償額が大幅に増える
裁判基準で請求できるため、数百万円〜数千万円の増額も珍しくありません。弁護士費用を差し引いても、被害者の手元に残る金額が増えるケースがほとんどです。
実例 保険会社提示額800万円 → 弁護士介入後2,100万円(1,300万円の増額)
2. 適切な等級認定を受けられる
後遺障害診断書の内容を医学的・法律的にチェックし、必要な追加検査を提案します。「14級」が「12級」になれば、補償額は数百万円変わります。「非該当」が「14級」になるだけでも大きな違いです。
3. 複雑な手続きを全て任せられる
後遺障害の申請、医療記録の収集、保険会社との交渉、示談書の作成など、複雑で時間のかかる手続きを全て任せられます。あなたは治療とリハビリに専念できます。
4. 将来の損害も漏れなく請求
将来介護費、住宅改造費、車椅子や装具の費用など、胸椎骨折特有の損害項目を漏れなく請求できます。
弁護士費用の心配は不要
「弁護士に頼むとお金がかかるのでは?」と心配される方も多いですが、実際には以下の理由で負担は少ないです。
1. 弁護士特約が使える
あなたやご家族の自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、通常300万円まで保険から弁護士費用が支払われます。実質無料で弁護士に依頼できます。
保険証券や保険会社に確認してみましょう。自分の車の保険だけでなく、同居の家族の保険、火災保険、クレジットカードの付帯保険などでも使える場合があります。
2. 増額分で弁護士費用をカバーできる
弁護士特約がなくても、増額される補償額で弁護士費用を払ってもお釣りがくることがほとんどです。
例
- 保険会社提示額:800万円
- 弁護士介入後の獲得額:2,100万円
- 増額分:1,300万円
- 弁護士費用(成功報酬など):約200万円
- 実質的な増額:約1,100万円
3. 初回相談無料の事務所が多い
多くの法律事務所が初回相談を無料で行っています。まずは相談して、費用や見込みを聞いてから依頼を決められます。無理な営業をされることもありません。納得してから依頼できるので安心です。
こんな時は必ず弁護士に相談を
以下のようなケースでは、特に弁護士のサポートが重要です。
後遺障害が残った・残りそうな場合
- ・背中の痛みが半年以上続いている
- ・背骨が曲がってしまった
- ・背中を動かせる範囲が狭くなった
- ・手術で背骨を金属で固定した
- ・足にしびれや麻痺がある
- ・車椅子が必要になった
保険会社の対応に問題がある場合
- ・提示された金額が明らかに低い
- ・「これ以上は払えない」と言われた
- ・後遺障害の等級に納得できない
- ・「非該当(等級なし)」とされたが症状は残っている
- ・治療費を一方的に打ち切られた
- ・「軽い骨折だから」と軽く扱われた
重症で今後の生活が不安な場合
- ・対麻痺で車椅子生活になった
- ・介護が必要になった
- ・仕事を辞めざるを得なくなった
- ・住宅の改造が必要になった
- ・高額な医療費や介護費が続く見込み
複雑な事情がある場合
- ・過失割合に納得できない
- ・事故の相手が任意保険に入っていない
- ・複数の怪我を負っている
- ・事故前から持病があった
一人で悩まず、できるだけ早い段階で専門家に相談することをお勧めします。相談が早いほど、取れる対策の選択肢が増え、より良い結果につながります。
弁護士の選び方のポイント
1. 交通事故に強い弁護士を選ぶ
交通事故は専門性が高い分野です。「交通事故に強い」「交通事故専門」などと明示している弁護士を選びましょう。胸椎骨折のような脊椎損傷の経験がある弁護士だと、さらに安心です。
2. 医学的知識がある弁護士を選ぶ
胸椎骨折の等級認定には、圧潰率、コブ角、可動域、神経学的所見など、医学的な知識が不可欠です。医師と対等に話ができ、医学的証拠を適切に評価できる弁護士を選びましょう。
3. 実績と解決事例を確認する
ホームページなどで、胸椎骨折や脊椎損傷の解決事例があるか確認しましょう。具体的な増額実績が示されていると信頼できます。
4. 相談時の対応で判断する
- ・あなたの話をしっかり聞いてくれるか
- ・専門用語を分かりやすく説明してくれるか
- ・見込みや費用について正直に話してくれるか
- ・質問に丁寧に答えてくれるか
初回相談での対応を見て、信頼できる弁護士かどうか判断しましょう。
まとめ:あなたの権利を守るために
胸椎骨折は、見た目には分からない深刻な怪我です。背中の激しい痛み、変形、動きの制限、そして重症の場合は両足の麻痺など、被害者の生活に深刻な影響を与えます。しかし、保険会社は画像検査の結果だけで判断しがちで、あなたの実際の苦痛や生活への影響を十分に評価してくれないことがあります。
忘れないでほしい7つのポイント
1. 事故直後は必ず病院へ
軽く見える症状でも、レントゲン、CT、MRI検査を受けましょう。特にMRI検査は重要です。
2. 治療は最後まで続ける
保険会社に治療費の打ち切りを言われても、医学的に必要なら治療を続けましょう。症状固定は医師と相談して決めます。
3. 症状と生活への影響を記録する
症状日記をつけ、「何ができなくなったか」を具体的に記録しましょう。これが重要な証拠になります。
4. 後遺障害等級が補償額を決める
等級認定は極めて重要です。症状固定前に必要な検査をすべて受け、後遺障害診断書の内容を確認しましょう。
5. 複数の障害がある場合は併合を検討
変形、運動障害、神経症状など、複数の観点から等級が認められる可能性があります。
6. 保険会社の最初の提示額は適正とは限らない
自賠責基準と裁判基準では大きな差があります。弁護士基準で請求すれば、数百万円〜数千万円の増額も可能です。
7. 専門家に早めに相談する
一人で悩まず、交通事故に強い弁護士に早めに相談しましょう。弁護士特約が使えれば実質無料、使えなくても増額分でカバーできることがほとんどです。
最後に:あなたは一人ではありません
交通事故で胸椎骨折を負い、痛みや不自由さと戦いながら、保険会社との交渉にも疲れ果てている方も多いでしょう。「この痛みは理解してもらえない」「もう諦めるしかないのか」と感じているかもしれません。
しかし、諦める必要はありません。適切な知識と専門家のサポートがあれば、あなたの苦痛に見合った妥当な補償を受けることは十分可能です。
実際の解決事例から分かること
- ・保険会社の提示額から1,000万円以上増額したケースは珍しくない
- ・当初「非該当」とされた方が等級を獲得し、数百万円の補償を得たケースもある
- ・脊髄損傷の場合、億単位の補償が認められることもある
胸椎骨折で苦しむあなたには、適切な補償を受ける正当な権利があります。その権利を守るために、以下のことを覚えておいてください。
今すぐできること
- 1. 自分や家族の保険に弁護士特約がついているか確認する
- 2. 交通事故に強い弁護士事務所をいくつか探す
- 3. 初回無料相談を利用して話を聞いてもらう
- 4. 症状日記をつけ始める
- 5. これまでの診断書や検査結果を整理する
相談するのに早すぎることはありません
「まだ治療中だから」「後遺障害が残るか分からないから」と相談を先延ばしにする必要はありません。むしろ、早い段階で相談することで、適切な検査を受けるタイミングや、症状の記録方法など、重要なアドバイスを受けられます。
多くの法律事務所が初回相談無料です。相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。
交通事故による胸椎骨折は、あなたの人生に大きな影響を与える重大な怪我です。適切な補償を受けることは、今後の治療費、生活費、そして人生の再建に不可欠です。一人で抱え込まず、専門家の力を借りて、あなたの権利をしっかり主張しましょう。
私たち法律実務家は、胸椎骨折に苦しむ被害者の皆様が、適切な治療を受け、妥当な補償を獲得し、一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。
あなたが一日も早く回復し、希望を持って前に進めることを、心より願っています。何か不明な点やご相談がございましたら、遠慮なく交通事故に強い弁護士にお声をかけください。
