交通事故に強い弁護士を選ぶ5つのポイント
監修:弁護士 石田 大輔
所属:愛知県弁護士会
2023.5.9
交通事故にあいケガを負うと、その後に加害者側と交渉をすることになります。交通事故の交渉は膨大な専門知識と時間を要するもので、これを被害者個人が行うことは非常に難しく、よく分からないままに不利な和解案で決着してしまうケースが多くなります。
被害者が適切な補償を受けられず、後遺症に苦しむことも少なくありません。
そのようなことにならないために、交通事故に精通した弁護士に依頼し、被害者に代わって交渉をしてもらう必要が出てくるわけです。
弁護士は法律の専門家として、被害者の権利を守り、適正な補償を獲得するために尽力します。
では、数ある弁護士の中から、どのような弁護士に依頼をすればよいのでしょうか。交通事故に強い弁護士を選ぶためのポイントを見ていきましょう。
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弁護士であれば誰でもよいわけではない
交通事故の被害に遭った際、まず思い浮かべるのは各地域で定期的に行っている無料相談会や法テラスでの相談でしょう。
インターネットで近くの法律事務所を探し出し相談することもできます。中には、親戚や友人、交友関係に弁護士がいて、その人に相談を持ちかけることもあるかもしれません。
しかし、そのようにして探し出した弁護士が、交通事故の被害者にとって本当に適切な相談相手となり得るのでしょうか。相談を行おうと訪れた弁護士が、交通事故に関する専門知識や経験を十分に持っているのか、被害者の立場に立って親身に対応してくれるのか、といった点が不安になります。
適切な弁護士選びのポイントを知らなければ、相談者である被害者は戸惑ってしまうでしょう。そこで、交通事故の相談先となる弁護士を選ぶ際の重要なポイントを考えてみます。
選ぶときの重要な5つのポイント
交通事故に強い弁護士を選ぶときには、次の5つのポイントを基準にすればよいでしょう。これらのポイントを押さえておけば、自分に合った頼りがいのある弁護士を見つけ出すことができます。
弁護士になってからの年数
交通事故の案件に限らず、その弁護士がどのくらいの活動実績を持っているかは重要な点です。弁護士としての経験年数が長ければ、これまでにさまざまな案件に関わり、多くの相談者の話を聞いてきたはずです。
その経験によって培われた知識と交渉力は、相談者の話をより深く理解し、交渉を有利に進めていく上で大きな武器になります。
弁護士歴が浅い場合でも、交通事故案件に特化して数多く扱ってきた実績があれば心強いでしょう。
交通事故案件の解決実績
弁護士としての経験が豊富だからといって、交通事故案件に強いとは限りません。労働問題に特化している弁護士もいれば、離婚問題のエキスパートもいます。つまり、分野によって専門性が分かれているのです。
交通事故の被害者にとっては、交通事故案件の経験が豊富で、解決実績の多い弁護士に依頼することが重要となります。
では、交通事故案件に強い弁護士は、どうやって見つければよいのでしょうか。もっとも簡単な方法は、広告やホームページなどで交通事故案件の解決実績をアピールしている弁護士を探すことです。ただし、ここで注意すべき点もあります。取り扱い案件として交通事故を挙げていても、弁護活動を行う環境が十分に整っていない弁護士もいるのです。
交通事故や後遺障害を専門的に扱うためには、法律知識だけでなく医学的知識や後遺障害認定のポイントなど、幅広い専門性が要求されます。提携医師がいるなど、交渉を円滑に進めるための環境が整っていることも重要なポイントとなります。
実際に弁護士と会って相談する際は、これまでどのような交通事故案件を扱ってきたのか、具体的な解決実績を尋ねてみましょう。
どのような方針で交渉に臨むのかを聞くのも良いでしょう。弁護士の姿勢を知ることで、依頼するかどうかの判断材料になります。
弁護士との相性
交通事故案件の実績が豊富で、経験年数も申し分ない弁護士でも、相談してみると依頼を躊躇してしまうことがあります。話をする中で、弁護士とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、言いたいことが言えない雰囲気を感じたりすると、「この人に任せて大丈夫だろうか」と不安になるのです。
交通事故の示談交渉は長期間に及ぶことも珍しくありません。その間、弁護士との信頼関係が築けないようでは、安心して任せられません。
また、医学的な専門用語が多く飛び交う中で、わかりやすい説明をしてもらえなければ、置いてけぼりを食らってしまいます。
納得のいく解決のためには、事件の見通しや解決方法について、丁寧でわかりやすい説明をしてくれる弁護士、つまり相性の良い弁護士を選ぶことが肝要です。相談の際は、弁護士の話し方や物腰、雰囲気などもしっかりチェックしておきたいものです。
明朗な料金
交通事故に詳しく、相性も良さそうだからと安心して依頼したものの、後になって法外な料金を請求されるようでは大変です。弁護士に相談や依頼をするのは、多くの人にとって日常的なことではありません。どの程度の費用がかかるのかが見えないと、「こんなに何度も呼び出されて大丈夫なのだろうか」「料金が跳ね上がったりしないだろうか」と心配になります。
逆に、料金が気になるあまり、十分な相談ができず、交渉にも支障が出てしまうかもしれません。
このようなトラブルを避けるには、依頼前に料金体系を確認しておくことが大切です。交通事故案件の弁護士費用は、主に相談料・着手金・成功報酬の3つから成ります。このほか、示談交渉の日当や、郵送料・交通費などの実費も発生します。
これら費用の詳細を予め把握しておけば、後々のトラブルを未然に防げるでしょう。明朗会計で、説明も丁寧な弁護士なら、安心して任せられます。
解決手段
示談交渉が難航し、解決できないケースもあります。そんな時は、裁判や交通事故紛争処理センターを利用した解決を目指すことになります。
事態の打開に向け、どのような選択肢があり、どの方法が最適かを的確にアドバイスしてくれる弁護士であることも重要なポイントです。
依頼者の中には「時間がかかっても納得のいく解決を」と望む人もいれば、「早期解決を最優先」としたい人もいるでしょう。
依頼者の要望をしっかりと汲み取り、それに沿った解決策を提案・実行してくれる弁護士なら、安心して任せることができるはずです。
以上、交通事故に強い弁護士の探し方と選ぶ際のポイントについて説明しました。できれば複数の弁護士に相談し、比較検討することをおすすめします。相性や方針、料金面などを総合的に判断し、自分に合った最適な弁護士を見つけられると良いですね。納得のいく弁護士選びが、事故解決への第一歩となります。