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後遺障害等級認定の流れと期間

後遺障害等級認定の流れ

監修:弁護士 石田 大輔
所属:愛知県弁護士会
2020.12.26

症状固定の診断からスタート

症状固定とは

交通事故後、ケガや脳障害などがあれば完治を目指して治療やリハビリをします。しかし、これ以上治療を続けても症状が改善しない段階になると、医師は「症状固定」との診断を出します。

症状固定とは、現在の医学的知見や技術では、これ以上の治療効果が期待できない状態を指します。つまり、後遺障害が残ったと医学的に判断されるのです。

ただし、症状固定は、必ずしも後遺障害が完全に変化しないことを意味するわけではありません。リハビリなどを継続することで、ある程度の改善が見られることもあります。しかし、事故前の状態に戻ることは難しいと判断されるため、損害賠償請求など次のステップに進むことになります。

症状固定の判断基準

症状固定の判断は、主に担当医の医学的な見地から行われます。ただし、画一的な基準があるわけではなく、ケースバイケースの判断になります。

一般的には、以下のような点を総合的に考慮して、症状固定が判断されます。

  • 1.治療効果の停滞:一定期間治療を続けても症状が変わらない状態が続いている。
  • 2.後遺症状の安定:症状の程度や範囲に大きな変化がなく、安定している。
  • 3.機能回復の限界:リハビリなどを行っても、それ以上の機能回復が見込めない。

これらの判断は、医療記録や検査結果などの客観的なデータに基づいて行われます。ただし、患者の主観的な訴えも重要な判断材料になります。

例えば、医学的には症状固定と判断されても、患者が強い痛みや不調を訴える場合は、さらに経過観察を続けることもあります。逆に、医学的にはまだ改善の余地があると思われても、患者が症状に満足している場合は、症状固定と判断されることもあります。

このように、症状固定の判断は、医学的な評価と患者の主観的な訴えを総合的に考慮して行われるのです。

後遺障害等級認定までの手順

後遺障害診断書の作成

症状固定の診断が出たら、次は後遺障害診断書の作成です。これは、後遺障害等級認定の申請に必要な重要な書類です。

1.後遺障害診断書の意義

後遺障害診断書は、被害者の後遺障害の状態を医学的に評価し、記録したものです。この診断書が、後遺障害等級認定の主な根拠となります。

診断書には、事故の経過、治療の内容、後遺障害の詳細な状態などが記載されます。これらの情報をもとに、等級認定が行われるのです。

後遺障害診断書は、被害者の公平な補償を実現するための重要な役割を果たします。適切な診断書があれば、等級認定の審査がスムーズに進むことが期待できます。

2.後遺障害診断書の主な記載内容

後遺障害診断書には、以下のような内容が記載されます。

  • 1.患者情報:氏名、生年月日、住所など
  • 2.事故の概要:事故の日時、場所、状況など
  • 3.傷病名:事故によって生じた傷病名とその部位
  • 4.初診日と症状固定日:最初の診察日と症状固定と判断された日
  • 5.治療の経過:手術、投薬、リハビリなどの治療内容と期間
  • 6.後遺障害の詳細:後遺症状の部位、程度、日常生活への影響など
  • 7.医師の所見:後遺障害の状態に対する医師の見解

これらの情報は、できる限り具体的かつ詳細に記載されることが求められます。曖昧な表現や主観的な判断は避け、客観的な事実を中心に記載することが大切です。

また、診断書の内容を裏付ける医療記録や検査結果などの資料も、あわせて提出することが一般的です。

後遺障害診断書の作成は、主治医が行うのが原則です。ただし、主治医の診断書の内容に不服がある場合は、他の医師にセカンドオピニオンを求めることもできます。

いずれにしても、後遺障害診断書は、被害者の正当な権利を守るための重要な書類です。医師との十分なコミュニケーションを通じて、適切な内容の診断書を作成してもらうことが大切です。

2.後遺障害診断書作成にかかる時間

後遺障害診断書の作成には、一定の時間がかかります。ここでは、診断書作成の一般的な期間と、作成が長引く場合の対応について説明します。

1.一般的な作成期間

後遺障害診断書の作成期間は、症状固定の診断から1~2ヶ月程度が一般的です。ただし、この期間はあくまで目安であり、ケースによって異なります。

作成期間の長さは、以下のような要因によって変わってきます。

  • 1.後遺障害の複雑さ:後遺障害の部位が多岐にわたる場合や、症状が複雑な場合は、診断書の作成に時間がかかります。
  • 2.医療機関の事情:大規模な病院や多忙な医師の場合は、診断書の作成が後回しになることがあります。
  • 3.追加の検査:後遺障害の状態を正確に把握するために、追加の検査が必要になることがあります。この場合、検査の予約や結果の出るまでに時間がかかります。

診断書の作成が遅れると、その後の等級認定の進行にも影響します。したがって、医師とは早めに相談し、作成の見通しを立てておくことが大切です。

2.作成期間が長引く場合

後遺障害診断書の作成が長引く場合は、以下のような対応が考えられます。

  • 1.医師への確認:作成の進捗状況を医師に確認し、遅れている理由を明らかにします。その上で、できるだけ早く診断書を作成してもらえるよう依頼します。
  • 2.他の医師への相談:主治医の診断書の作成が進まない場合は、他の医師にセカンドオピニオンを求めることも検討します。ただし、この場合は費用がかかることがあります。
  • 3.弁護士への相談:診断書の作成が長引くことで、損害賠償請求に支障が出る恐れがある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士から医療機関に働きかけてもらうことで、作成が進むこともあります。

いずれにしても、後遺障害診断書の作成が遅れている場合は、放置せずに積極的に動くことが大切です。早期の診断書入手が、その後の円滑な手続きにつながります。

3.後遺障害診断書の提出先

後遺障害診断書ができたら、次は提出先への送付です。ここでは、診断書の提出先とその役割について説明します。

1.保険会社への提出

後遺障害診断書は、まず相手方の保険会社に提出します。多くの場合、被害者側の代理人弁護士が、診断書を含む関係書類一式を保険会社に送付します。

保険会社は、診断書の内容を確認し、後遺障害等級認定の申請手続きを進めます。ただし、保険会社は利害関係者であるため、diagnostic書の内容をそのまま受け入れるとは限りません。

場合によっては、保険会社側の医師による再診断や、追加の資料提出を求められることもあります。このようなやり取りを経て、保険会社は最終的な等級認定の申請を行います。

2.自賠責損害調査事務所の役割

保険会社から申請を受けた後遺障害等級認定は、自賠責損害調査事務所で行われます。この事務所は、独立した第三者機関であり、公正・中立な立場から等級認定を行います。

自賠責損害調査事務所では、提出された後遺障害診断書や関連資料をもとに、後遺障害の状態を詳しく調査します。必要に応じて、被害者本人への面談や、主治医への照会なども行われます。

調査の結果、後遺障害の状態が後遺障害等級表のどの項目に該当するかが判断されます。そして、その項目に対応する等級が、被害者の後遺障害等級として認定されるのです。

等級認定の結果は、被害者と保険会社の双方に通知されます。この結果に基づいて、その後の損害賠償の交渉が行われることになります。

自賠責損害調査事務所による等級認定は、被害者の正当な権利を守るための重要なプロセスです。公正・中立な立場からの判断は、被害者と保険会社の間の利害調整に役立ちます。

ただし、事務所の判断に不服がある場合は、異議申し立てを行うことができます。異議申し立ては、事務所の決定通知を受けてから30日以内に行う必要があります。

異議申し立てがあった場合、事務所は再度の調査を行います。この再調査では、新たな資料の提出や、専門医による鑑定などが行われることもあります。

このように、自賠責損害調査事務所は、後遺障害等級認定の中核を担う重要な機関です。事務所の役割を理解し、適切に対応することが、円滑な認定手続きにつながります。

後遺障害等級認定の期間

後遺障害等級認定には、一定の期間がかかります。ここでは、認定までの一般的な期間と、認定が遅れる場合の対応について説明します。

1.認定までの一般的な期間

後遺障害等級認定の期間は、ケースによって大きく異なります。最短で1ヶ月程度、長い場合は1年以上かかることもあります。

一般的な認定までの期間は、以下のような流れになります。

  • 1.症状固定から後遺障害診断書作成まで:1~2ヶ月
  • 2.保険会社への提出から自賠責損害調査事務所への申請まで:2~4週間
  • 3.自賠責損害調査事務所での調査・認定:1~3ヶ月

これらを合わせると、およそ3~6ヶ月程度が、一般的な認定までの期間と言えます。ただし、この期間はあくまで目安であり、ケースによって大きく変動します。

認定期間の長さは、以下のような要因によって変わってきます。

  • 1.後遺障害の複雑さ:後遺障害の部位が多岐にわたる場合や、症状が複雑な場合は、調査に時間がかかります。
  • 2.追加資料の提出:自賠責損害調査事務所から、追加の資料提出を求められることがあります。この場合、資料の準備に時間がかかります。
  • 3.異議申し立て:認定結果に不服がある場合は、異議申し立てを行うことができます。異議申し立てがあった場合、再調査が行われるため、認定までの期間が長引きます。

このように、後遺障害等級認定の期間は、一概に言えないのが実情です。ただし、認定までの期間が長引くほど、被害者の生活再建が遅れることになります。

したがって、できるだけ早期の認定を目指すことが大切です。そのためには、医師や弁護士と緊密に連携し、必要な手続きを滞りなく進めることが求められます。

2.認定が遅れる場合の対応

後遺障害等級認定が遅れる場合は、以下のような対応が考えられます。

  • 1.保険会社への確認:認定の進捗状況を保険会社に確認し、遅れている理由を明らかにします。その上で、できるだけ早く認定手続きを進めてもらえるよう依頼します。
  • 2.自賠責損害調査事務所への問い合わせ:事務所に直接問い合わせを行い、調査の進捗状況を確認します。遅れている場合は、その理由を説明してもらい、今後の見通しを立ててもらいます。
  • 3.弁護士への相談:認定の遅れによって、損害賠償請求に支障が出る恐れがある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士から保険会社や事務所に働きかけてもらうことで、手続きが進むこともあります。

いずれにしても、後遺障害等級認定が遅れている場合は、放置せずに積極的に動くことが大切です。早期の認定が、その後の円滑な損害賠償手続きにつながります。

後遺障害等級認定後の手続き

後遺障害等級が認定されたら、次は損害賠償の請求手続きです。ここでは、認定後の一般的な流れについて説明します。

  • 1.認定結果の確認:自賠責損害調査事務所から送付された認定結果通知を確認します。認定された等級と、それに対応する慰謝料の金額を把握します。
  • 2.異議申し立ての検討:認定結果に不服がある場合は、弁護士と相談の上、異議申し立てを検討します。異議申し立ては、結果通知を受けてから30日以内に行う必要があります。
  • 3.損害賠償請求の準備:認定結果に基づいて、損害賠償請求の具体的な金額を算定します。この際、慰謝料だけでなく、逸失利益や将来の介護費用なども含めて請求することができます。
  • 4.示談交渉:算定した損害賠償額を基に、保険会社との示談交渉を行います。交渉は、被害者本人や代理人弁護士によって行われます。
  • 5.合意または訴訟:示談交渉の結果、合意に至れば、保険会社から損害賠償金が支払われます。合意に至らない場合は、訴訟を検討することになります。

このように、後遺障害等級認定後も、損害賠償請求のための手続きが必要になります。この手続きを円滑に進めるためには、弁護士の助言を得ることが大切です。

弁護士は、認定結果の評価、損害賠償額の算定、示談交渉など、一連の手続きをサポートしてくれます。また、必要に応じて、訴訟の準備や遂行も行います。

後遺障害を負った被害者にとって、損害賠償請求は生活再建のための重要なプロセスです。専門家の助言を得ながら、適切な手続きを進めることが求められます。

まとめ:後遺障害等級認定の流れと期間

後遺障害等級認定は、交通事故被害者の損害賠償請求において重要です。症状固定の診断から始まり、後遺障害診断書の作成、保険会社への提出、自賠責損害調査事務所での調査・認定と一連の流れがあり、一般的に3~6ヶ月程度の期間がかかります。

認定が長引く場合は、保険会社や自賠責損害調査事務所に確認を取るとともに、弁護士に相談することも検討すべきです。認定後は、損害賠償請求の具体的な手続きに入ります。

後遺障害等級認定は、被害者の生活再建に直結する重要なプロセスであり、専門家の助言を得ながら適切に対応することが求められます。交通事故被害者の方は、一人で悩まずに専門家に相談し、適切なサポートを受けることで、円滑な手続きと早期の生活再建を目指すことができます。

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