交通事故発生から後遺障害等級決定まで。事故解決の流れ
交通事故にあった後、どのような流れで警察に通報し、どのように慰謝料の請求まで進めればよいのでしょうか。ここでは、交通事故にあった直後からの基本的な流れを紹介します。
監修:弁護士 石田 大輔
所属:愛知県弁護士会
2023.5.9
Contents
交通事故にあった後の基本的な流れ
交通事故が発生すると、以下のような流れで解決に向かいます。
- 交通事故が発生、事故状況や相手の身元確認
- 警察への通報、実況見分調書の作成
- 加害者、被害者の保険会社への連絡
- 被害者はケガの治療で入院または通院・リハビリ
- 治療完了で症状固定
- 後遺障害等級の認定により慰謝料が確定
ひとつずつ、詳しく説明していきましょう。
交通事故が発生、事故状況や相手の身元確認
交通事故は、いつ何時発生するか分かりません。運悪く、交通事故が発生したら速やかに警察へ連絡します。警察が到着すると事故の状況、事故現場の住所等を聞かれることになります。
加害者から、「警察には届けず、示談で進めましょう」などと提案されることがあるようです。しかし、示談にするからといって警察に届けなくてよいわけではありませんし、警察への届け出は運転者の義務だと道路交通法でも決められています。最悪の場合、事故自体がなかったことにされてしまいますので、必ず警察には連絡します。
なお、ケガ人がいる場合、警察よりも先に119番通報を優先します。また、危険な場所で動けない場合は、先に安全な場所に移動させてください。

警察への通報、実況見分調書の作成
通報後、警察官が事故現場に駆け付けます。その後、車が衝突した場所について距離を測るだけでなく、加害者・被害者・目撃者等から事故の状況について話を確認し、「実況見分調書」を作成することになります。この実況見分調書は、事故状況を示す客観的な資料として、後に過失割合を決めるにあたってとても重要な資料となるものです。
なお、ケガを負った負傷者は救急車で緊急搬送されるため、その場で事故状況等を説明することはできません。このような場合、後日改めて事故現場に呼ばれ、実況見分を行うこともあります。
ケガ人がいない物件(物損)事故の場合は、実況見分は行われません。ごく簡単な物件(物損)事故報告書が作成されるだけとなります。ただ、後日に痛みが出てきた場合には病院へ治療に行き、医師に診断書を書いてもらう必要があります。
このような場合、物損事故から人身事故へ切り替えてもらう必要がでてきます。人身事故へ切り替えてもらうためには、医師に書いてもらった診断書を警察へ提出して手続きをしてください。
加害者、被害者の保険会社への連絡
事故発生後、自分が被害者の場合、加入している保険会社に連絡します。保険の種類・契約内容によっては、治療費の支払いを受けられることもありますし、これからの交渉に必要な弁護士費用を払って貰えることがあります。また、加害者側の保険会社があればこちらへも連絡します。今後の交渉の窓口が加害者側の保険会社になるためです。
被害者はケガの治療で入院ないし通院・リハビリ
ケガを負ったときは、入院通院を行ってケガの治療、リハビリで完治を目指します。このときの入通院治療費は、被害者の立替払いまたは加害者の保険会社から支払われます。
治療完了で症状固定
治療やリハビリを通し完治を目指しますが、これ以上治療を行っても改善が望めない場合、医師は「症状固定」の判断を下します。この治療期間は一般的に半年を目安としています。
なお、症状固定以降、病院に通えなくなるという意味ではありません。自分の健康保険などを使って治療が可能です。
後遺障害等級の認定により慰謝料が確定
医師により症状固定と診断された後、後遺症が残っており日常の仕事などに支障をきたしたり、労働に問題があったりするようであれば、後遺障害等級の認定を行います。その後、審査を経て判定された遺障害等級により、慰謝料が確定します。
おおよそ、事故発生から慰謝料の支払いまでの流れは以上のようになります。
目安として治療期間が半年、後遺障害等級の報告が被害者に届くまで2ケ月程度です。もちろん、事故の状況や被害・ケガの程度によっても違いますが、思っている以上に手間と時間がかかると思っていたほうがよいでしょう。