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肝臓破裂による肝機能障害と脱臓摂出で4200万円の賠償獲得事案 - 名古屋の交通事故弁護士

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肝臓破裂による肝機能障害と脱臓摂出で、将来治療費を含めて4200万円の賠償を獲得した事案

事故の概要と被害状況

被害者情報

性別

男性

年齢

50代

職業

食品卸売会社営業部長

後遺障害等級

9級11号、13級11号併合8級相当

受傷部位

肝損傷(IIIa型)、脾損傷、大量輸血後C型肝炎ウイルス感染、慢性肝炎、脾臓摘出

事故の態様

名古屋市緑区の県道において、バイクで直進中の被害者に、右折してきた加害車両が側面から衝突

賠償金額の比較

項目受任前受任後
保険会社からの提示・裁判1,600万円
休業損害280万円650万円
入通院慰謝料210万円350万円
逸失利益850万円2,300万円
後遺障害慰謝料260万円830万円
医療費等を含む賠償総額1,600万円4,200万円

交通事故の状況

バイクで県道を直進中の被害者に、対向車線から右折してきた加害車両が側面から衝突しました。被害者に過失はなく、過失割合は0:100です。事故により被害者は路面に投げ出され、腹部を強打しました。

救急搬送先でのFAST(迅速超音波検査)でモリソン窩に液体貯留が確認され、造影CT検査で肝損傷IIIa型(単純深在性損傷)および脾損傷が確認されました。緊急開腹手術が施行され、肝縫合術による止血と損傷脾臓の摘出が行われました。手術中の大量出血に対し約2,000mlの輸血が行われ、約3か月の入院加療を経て退院しました。

退院後の定期検査でC型肝炎ウイルスの感染が判明し、慢性肝炎への移行が確認されました。

相談内容

事故から1年4か月が経過し、症状固定となった時点で保険会社から示談提示がありました。被害者は食品卸売会社の営業部長として、得意先への訪問営業、接待を伴う飲食の席、展示会での長時間立位など、身体的負荷と対人活動を日常的に行っていました。

しかし、慢性肝炎による倦怠感と易疲労性により長時間の外出営業が困難となり、また肝機能保護のため飲酒が完全に禁止されたことで得意先との接待業務にも支障が生じ、内勤の管理業務への配置転換を余儀なくされました。給与は約25%減少しました。

しかし、保険会社の提示では「肝臓は再生能力が高いから後遺障害は軽微」として肝機能障害が過小評価され、輸血によるウイルス感染と事故との因果関係も争われ、また将来の肝硬変進行リスクや定期検査費用も考慮されていなかったため、弁護士に相談されました。

成果の概要

まず、消化器科専門医の協力を得て、輸血歴とC型肝炎ウイルス感染の因果関係を医学的に立証しました。事故前の血液検査でHCV抗体が陰性であったこと、緊急手術時に約2,000mlの輸血が行われたこと、輸血後3か月でHCV-RNAが陽性化したことを時系列で整理し、消化器科専門医の意見書により輸血が原因であることを明確にしました。

さらに、定期的な血液検査でAST・ALTが持続的に低値を示しつつもウイルスの持続感染が確認され、慢性肝炎が残存していることを記録し、11級10号「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」の認定を受けました。また、損傷脾臓の摘出について13級11号「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」の認定を受け、併合8級相当としました。

その上で、慢性肝炎は将来的に肝硬変への進行リスクがあり、生涯にわたる抗ウイルス療法、定期的な血液検査・画像検査(肝臓がんスクリーニングを含む)が必要であることを消化器科専門医の意見書により指摘し、将来治療費として約400万円を算定しました。

また、食品卸売会社の営業部長という職業は、得意先への訪問営業、展示会での終日立位、接待を伴う飲酒の席など、身体的持久力と対人活動が不可欠な業務であることを、会社の人事部の証明書と得意先への同行記録により詳細に立証しました。慢性肝炎による易疲労性が外勤営業を困難にし、飲酒禁止が接待業務を実質的に不可能にしたことを明らかにし、併合8級の通常の労働能力喪失率(45%)を前提としつつ、営業職としての職業特性を重視して逸失利益を算定しました。

輸血によるウイルス感染の因果関係と営業職という職業特性を総合的に立証し、訴訟を提起して最終的に約2.6倍の4,200万円の賠償を獲得しました。

成果のポイント

  • ・肝臓破裂による後遺障害は、「肝臓は再生するから障害は残らない」という保険会社の主張に対し、ウイルスの持続感染とAST・ALTの経時的データを積み重ねることで、慢性肝炎による11級10号の認定を受けることができます。
  • ・緊急手術時の大量輸血によるウイルス感染は、事故前の血液検査結果、輸血歴、感染判明までの時系列を整理し、消化器科専門医の意見書により因果関係を立証することが極めて重要です。
  • ・肝損傷と同時に脾臓など他の臓器にも損傷がある場合、それぞれについて適切な等級認定を受け、併合により等級を上げることで、賠償額を大幅に増額できます。
  • ・慢性肝炎は将来的に肝硬変や肝臓がんへの進行リスクがあるため、生涯にわたる抗ウイルス療法、定期検査、がんスクリーニング費用を詳細に積算して将来治療費として請求することが重要です。
  • ・営業職、接客業、食品関連業など、飲酒を伴う接待や長時間の外勤が求められる職業の場合、慢性肝炎による易疲労性と飲酒禁止が業務に与える影響を具体的に立証することで、高い労働能力喪失率を認めさせることができます。
  • ・肝損傷の事案では、消化器外科医および消化器科専門医との緊密な連携が不可欠であり、輸血によるウイルス感染の因果関係の立証と、経時的な肝機能検査データの蓄積が適正な補償を受けるための鍵となります。

担当弁護士 石田大輔