腰椎破裂骨折による膀胱直腸障害で、将来介護費用を含めて8600万円の賠償を獲得した事案 - 名古屋の交通事故弁護士

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腰椎破裂骨折による膀胱直腸障害で、将来介護費用を含めて8600万円の賠償を獲得した事案

事故の概要と被害状況

被害者情報

性別

女性

年齢

30代

職業

小学校教諭

後遺障害等級

別表第二 5級2号

受傷部位

第2腰椎破裂骨折、馬尾神経完全損傷、神経因性膀胱、直腸機能障害

事故の態様

名古屋市内の県道において、横断歩道を歩行中の被害者が、赤信号を無視して突入してきた加害車両に跳ね飛ばされる

賠償金額の比較

項目受任前受任後
保険会社からの提示・裁判3200万円
休業損害420万円850万円
入通院慰謝料380万円540万円
逸失利益2000万円4800万円
後遺症障害慰謝料400万円1400万円
医療費等を含む賠償総額3200万円8600万円

交通事故の状況

横断歩道を歩行中の被害者が、赤信号を無視して交差点に突入してきた加害車両に跳ね飛ばされました。被害者に過失はなく、過失割合は0:100です。事故により地面に腰部から激しく落下し、第2腰椎の破裂骨折を負いました。

骨折片が脊柱管内に突出して馬尾神経を損傷し、受傷直後から両下肢の完全麻痺と排尿・排便感覚の消失が出現しました。緊急で椎弓切除術および骨片除去術を施行しましたが、馬尾神経の損傷が重度であったため、両下肢の運動機能は部分的に回復したものの、膀胱直腸障害は残存しました。

約4か月の入院リハビリテーションを経て、自己導尿と摘便による排泄管理が必要な状態で退院となりました。

相談内容

事故から1年半が経過し、症状固定となった時点で保険会社から示談提示がありました。被害者は小学校教諭として児童の教育に情熱を注いでいましたが、膀胱直腸障害により1日に5〜6回の自己導尿と、定期的な摘便が必要な状態となり、学校での勤務継続が極めて困難となりました。

授業中や児童と接している最中に排泄処置のために頻繁に中断せざるを得ず、また感染症のリスクも高いため、教育委員会と協議の結果、休職という形になりました。30代という若さで教職を失い、将来的な復職の見込みも立たない状況に深い絶望を感じていました。

しかし、保険会社の提示では、膀胱直腸障害の日常生活への深刻な影響が過小評価されており、また生涯にわたる医療処置や感染症リスクへの対応、将来的な介護の必要性も十分に考慮されていなかったため、弁護士に相談されました。

成果の概要

まず、泌尿器科専門医および大腸肛門科専門医の協力を得て、膀胱機能検査(ウロダイナミクス検査)により膀胱の収縮機能と知覚機能が完全に消失していることを確認し、残尿測定で常に200ml以上の残尿があること、直腸肛門機能検査により肛門括約筋の随意収縮が不可能であることを詳細に記録し、別表第二5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」の認定を受けました。

その上で、生涯にわたる自己導尿に必要なカテーテル等の医療消耗品費用(月額2万円)、尿路感染症予防のための抗菌薬(月額1万円)、摘便用品費用(月額5千円)、定期的な泌尿器科および肛門科の通院費用、尿路感染症や腎機能低下による入院治療の予備費などを合わせて、将来治療費として約1800万円を算定しました。

また、膀胱直腸障害は日常生活の質を著しく低下させ、外出時の不安、社会生活の制限、精神的苦痛が極めて大きいこと、さらに自己導尿と摘便という医療的処置を1日に複数回行う必要があり、体調不良時や高齢になった際には家族による介助が不可欠となることから、将来介護費用(日額3000円、妻の高齢化後は日額5000円に増額)として約1200万円を算定しました。

さらに、小学校教諭という職業は、児童と長時間接し、授業を連続して行い、校外活動を引率するなど、排泄処置のための頻繁な中断が許されない業務特性があることを、学校長の証言や教育委員会の見解により詳細に立証し、膀胱直腸障害により教職の継続が実質的に不可能であることを明らかにしました。

これにより、5級2号の労働能力喪失率79%を前提としつつ、教職という専門性の高い職業からの離職を余儀なくされた点を重視し、基礎収入(年収520万円)の全期間にわたる逸失利益を主張しました。

若年女性の教職喪失という深刻な影響と生涯にわたる医療処置の必要性を総合的に立証し、訴訟を提起して最終的に約2.7倍の8600万円の賠償を獲得しました。

成果のポイント

  • ・膀胱直腸障害は、膀胱機能検査(ウロダイナミクス検査)、残尿測定、直腸肛門機能検査などの客観的検査により、神経因性膀胱と直腸機能障害の重症度を医学的に立証することで、5級2号の認定を受けることができます。
  • ・生涯にわたる自己導尿と摘便は、カテーテル等の医療消耗品、感染症予防薬、定期通院費用など、継続的に高額な費用が必要となるため、詳細に積算して将来治療費として請求することが重要です。
  • ・膀胱直腸障害による社会生活の制限と精神的苦痛は極めて大きく、また高齢化に伴い介助が必要となる可能性が高いため、近親者介護費用を長期間にわたって算定することで、相応の将来介護費を認めさせることができます。
  • ・小学校教諭、保育士、接客業など、長時間連続して業務に従事する必要がある職業の場合、頻繁な排泄処置による中断が業務遂行を実質的に不可能にすることを、職場の証言や業務の特性から詳細に立証することが重要です。
  • ・若年者が専門職を失う場合、就労可能年数が長く、また専門性の喪失による影響が大きいため、逸失利益が高額になります。年齢と職業の両面から丁寧に主張することが必要です。
  • ・膀胱直腸障害の事案では、泌尿器科専門医および大腸肛門科専門医との連携が不可欠であり、客観的な機能検査データと日常生活への具体的影響を両面から立証することが適正な補償を受けるための基盤となります。