事故の概要と被害状況
被害者情報
| 性別 | 男性 | |
| 年齢 | 40代 | |
| 職業 | 建設会社現場監督 | |
| 後遺障害等級 | 2級1号 | |
| 受傷部位 | 右下肢膝上切断、左下肢膝下切断、骨盤骨折 | |
| 事故の態様 | 名古屋市中川区の国道において、バイクで直進中の被害者が、対向車線から右折してきた加害車両と衝突 | |
賠償金額の比較
| 項目 | 受任前 | 受任後 |
| 保険会社からの提示・裁判 | 4500万円 | – |
| 休業損害 | 250万円 | 520万円 |
| 入通院慰謝料 | 350万円 | 480万円 |
| 逸失利益 | 3500万円 | 6200万円 |
| 後遺症障害慰謝料 | 400万円 | 2370万円 |
| 医療費等を含む賠償総額 | 4500万円 | 9800万円 |
交通事故の状況
バイクで直進中の被害者が、対向車線から右折してきた加害車両と衝突しました。過失割合は15:85です。事故により両下肢を切断する重篤な外傷を負い、右下肢は膝上切断、左下肢は膝下切断となりました。また、骨盤骨折も伴い、長期間の入院とリハビリテーションを要しました。
相談内容
事故から2年が経過し、義肢での歩行訓練を終えて症状固定となった時点で保険会社から示談提示がありました。被害者は建設現場の監督として活躍していましたが、両下肢切断により現場での業務継続が不可能となり、退職を余儀なくされました。
しかし、保険会社の提示額では将来の義肢交換費用や住宅のバリアフリー改造費が十分に考慮されておらず、また義肢装着による日常生活の困難さに対する随時介護の必要性も認められていなかったため、弁護士に相談されました。
成果の概要
まず、義肢装具士の協力を得て、義肢の使用実態と将来にわたる交換・メンテナンス費用を詳細に算定しました。両下肢の義肢は5年ごとの交換が必要で、1回あたり約300万円、平均余命までの費用として約3000万円を将来義肢費として請求しました。
また、自宅のバリアフリー改造費として玄関スロープ、浴室・トイレの改修、廊下の拡幅などで約800万円を住宅改造費として算定しました。さらに、義肢装着による身体的負担や着脱時の介助の必要性から、随時介護を要する2級1号の認定を受け、将来介護費として近親者介護による費用約1500万円を請求しました。
建設現場監督としての高い基礎収入と、現場作業が不可能になったことによる100%の労働能力喪失を主張し、訴訟を提起して最終的に9800万円の賠償を獲得しました。
成果のポイント
- ・両下肢切断などの重篤な四肢欠損事案では、将来の義肢費用が賠償額の大きな割合を占めるため、義肢装具士と連携した詳細な算定が不可欠です。
- ・義肢は定期的な交換とメンテナンスが必要であり、平均余命までの長期間にわたる費用を漏れなく請求することが重要です。
- ・住宅のバリアフリー改造費は、被害者の障害の程度と実際の生活環境に応じて、必要な改造内容を具体的に積算する必要があります。
- ・義肢使用者の日常生活上の困難さを詳細に立証することで、随時介護の必要性を認めさせ、2級1号の認定を受けることができます。
- ・肉体労働や現場作業を伴う職業の場合、下肢切断による労働能力への影響は極めて大きいため、職業の特性を重視した主張により100%の労働能力喪失を認めさせることができます。
