遷延性意識障害で、在宅介護体制の構築費用を含めて1億5000万円の賠償を獲得した事案 - 名古屋の交通事故弁護士

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遷延性意識障害で、在宅介護体制の構築費用を含めて1億5000万円の賠償を獲得した事案

事故の概要と被害状況

被害者情報

性別

女性

年齢

30代

職業

薬剤師

後遺障害等級

1級1号

受傷部位

びまん性軸索損傷、遷延性意識障害

事故の態様

豊田市の県道において、乗用車の助手席に同乗中の被害者が、対向車線からセンターラインをはみ出してきた加害車両と正面衝突

賠償金額の比較

項目受任前受任後
保険会社からの提示・裁判5000万円
休業損害200万円450万円
入通院慰謝料400万円550万円
逸失利益3500万円8500万円
後遺症障害慰謝料900万円2800万円
医療費等を含む賠償総額5000万円15000万円

交通事故の状況

乗用車の助手席に同乗中の被害者が、対向車線からセンターラインをはみ出してきた加害車両と正面衝突しました。被害者に過失はなく、過失割合は0:100です。事故により頭部に強い衝撃を受け、びまん性軸索損傷を負い、遷延性意識障害(いわゆる植物状態)となりました。
自発呼吸はあるものの意思疎通は不可能で、胃ろうによる栄養摂取、全介助による日常生活という状態が続いています。

相談内容

事故から3年が経過し、症状固定となった時点で保険会社から示談提示がありました。被害者は薬剤師として病院に勤務していましたが、遷延性意識障害により意識が戻らず、家族による24時間介護が必要な状態となりました。

当初は医療機関に入院していましたが、家族の強い希望により在宅介護への移行を検討していました。しかし、保険会社の提示では施設入所を前提とした介護費用しか認められておらず、在宅介護に必要な住宅改造費や医療機器の購入費、職業付添人の費用などが十分に考慮されていなかったため、ご家族が弁護士に相談されました。

成果の概要

まず、遷延性意識障害患者の在宅介護の実態について、専門医や訪問看護師の意見書を収集し、在宅介護の妥当性と必要性を医学的に立証しました。
その上で、在宅介護に必要な住宅改造として、介護用ベッドの設置スペース確保、吸引器等の医療機器設置、浴室の全面改修、車椅子対応の玄関・廊下改修などで約1500万円を住宅改造費として算定しました。

また、特殊ベッド、体位変換装置、吸引器、パルスオキシメーター、介護用車椅子などの医療・介護機器の購入費として約500万円を請求しました。さらに、24時間の介護が必要であることから、家族による介護を基本としつつも、夜間や家族の休息時には職業付添人による介護が不可欠であるとして、職業付添人費用(日額8000円)と近親者介護費用(日額8000円)を組み合わせた将来介護費として約6000万円を算定しました。

薬剤師としての高い基礎収入と、若年での重篤な後遺障害により長期間の介護が見込まれることを考慮し、訴訟を提起して最終的に1億5000万円の賠償を獲得しました。

成果のポイント

  • ・遷延性意識障害の事案では、施設入所か在宅介護かにより介護費用の算定方法が大きく異なるため、家族の希望と医学的妥当性を踏まえた選択が重要です。
  • ・在宅介護を選択する場合、住宅改造費や医療・介護機器の購入費など、初期費用が高額になりますが、これらを詳細に積算することで適正な補償を受けられます。
  • ・24時間介護が必要な1級1号の事案では、家族介護と職業付添人を組み合わせた現実的な介護体制を提示することで、高額な将来介護費を認めさせることができます。
  • ・若年者で専門職に従事していた場合、高い基礎収入と長期間の労働能力喪失期間により、逸失利益が高額になります。
  • ・遷延性意識障害は最も重篤な後遺障害の一つであり、医学的専門知識と介護の実態に精通した弁護士に早期に相談することが、適正な補償を受けるために不可欠です。