事故の概要と被害状況
被害者情報
性別 | 女性 | |
年齢 | 50代 | |
職業 | 看護師 | |
後遺障害等級 | 5級2号 | |
受傷部位 | 外傷性くも膜下出血、脳挫傷、高次脳機能障害 | |
事故の態様 | 刈谷市の交差点において、自転車で直進中の被害者が、左方から一時停止を無視して出てきた加害車両と衝突 |
賠償金額の比較
項目 | 受任前 | 受任後 |
保険会社からの提示・裁判 | 500万円 | – |
休業損害 | 100万円 | 380万円 |
入通院慰謝料 | 150万円 | 240万円 |
逸失利益 | 200万円 | 1680万円 |
後遺症障害慰謝料 | 50万円 | 1400万円 |
医療費等を含む賠償総額 | 500万円 | 2800万円 |
交通事故の状況
自転車で直進中の被害者が、左方から一時停止を無視して出てきた加害車両と衝突した。過失割合は10:90。事故により頭部を強打し、外傷性くも膜下出血と脳挫傷を負った。意識回復後は一見正常に見えたが、記憶障害や注意障害などの高次脳機能障害が残った。
相談内容
事故から10カ月が経過し、外傷の治癒により職場復帰したものの、以前のように複雑な看護業務をこなすことができず、ミスが多発するようになった。保険会社は外見上の回復を理由に軽微な後遺障害として扱い、高次脳機能障害については認めようとしなかった。職場の理解も得られず、退職を検討せざるを得ない状況となったため、弁護士に相談された。
成果の概要
まず、高次脳機能障害の専門医を受診し、詳細な神経心理学的検査を実施した。その結果、記憶障害、注意障害、遂行機能障害が明確に認められた。また、看護師という職業の特性上、これらの認知機能障害が業務に与える影響は極めて大きいことを、職場の同僚や上司の証言、実際の業務での困難事例などにより詳細に立証した。
さらに、事故前後の業務内容や勤務評価の変化を客観的に示し、高次脳機能障害による労働能力の著しい低下を証明した。適切な後遺障害診断書の作成により5級2号の認定を受け、専門職としての高い基礎収入も考慮して、示談交渉により最終的に約6倍の賠償額を獲得した。
成果のポイント
- ・高次脳機能障害は外見からは判断しにくく、見落とされやすい障害ですが、適切な検査により客観的に証明できます。
- ・看護師などの専門職では、軽度の認知機能障害でも業務に重大な影響を与えるため、職業との関連性を重視した立証が重要です。
- ・保険会社は外見上の回復を理由に軽微に扱いがちですが、詳細な神経心理学的検査により障害の程度を客観化できます。
- ・事故前後の業務能力の変化を具体的に示すことで、労働能力喪失の程度を適切に評価させることができます。
- ・高次脳機能障害の疑いがある場合は、早期に専門医での検査と弁護士への相談が重要です。