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事故の概要と被害状況
被害者情報
| 性別 | 女性 | |
| 年齢 | 60代 | |
| 職業 | パート従業員(スーパーマーケット) | |
| 後遺障害等級 | 14級 9号 | |
| 受傷部位 | 頸椎捻挫、腰椎捻挫、右肩打撲 | |
| 事故の態様 | 愛知県豊田市の県道において、信号待ちで停車中の被害車両に後方から加害車両が追突しました。 | |
賠償金額の比較
| 補償項目 | 受任前 | 受任後 |
| 休業損害 | 10万円 | 25万円 |
| 入通院慰謝料 | 50万円 | 75万円 |
| 逸失利益 | – | 140万円 |
| 後遺症障害慰謝料 | – | 110万円 |
| 医療費等を含む 賠償総額 | 80万円 | 300万円 |
相談内容
6ヶ月間の通院治療(計72回)を終え、保険会社から示談提示がありました。しかし、依然として首と腰の痛みが残存し、パート勤務も週4日から週2日に減少していました。保険会社の提示額は入通院慰謝料のみの80万円で、「むち打ち症は後遺障害に該当しない」「レントゲンで異常がないので治癒している」として後遺障害関連の補償は一切認められませんでした。
主治医からも「後遺障害認定は難しい」と言われ、諦めかけていましたが、症状の辛さと生活への影響から弁護士に相談されました。
成果の概要
1. 後遺障害認定のための医学的立証強化
弁護士が整形外科医と連携し、以下を実施:
MRI検査の追加実施:頸椎・腰椎MRIで椎間板の軽度変性・膨隆を確認
神経学的検査の実施:
スパーリングテスト:陽性(右側)
ジャクソンテスト:陽性
深部腱反射:右上肢やや亢進
握力検査:右手18kg/左手24kg(約25%低下)
知覚検査:右手親指〜中指の感覚鈍麻
詳細な後遺障害診断書の作成:自覚症状、他覚的所見、因果関係、予後を詳細に記載
2. 症状の客観的記録
弁護士の指導により以下を実施:
痛みの日記(3ヶ月間):痛みの部位・程度・頻度・悪化因子を記録
職場からの証明書:勤務時間の減少(週24時間→週8時間)と業務内容の制限を証明
陳述書作成:日常生活・仕事への具体的影響を記載
3. 後遺障害認定の取得
被害者請求により、症状固定から約2ヶ月後に14級9号の認定を取得。自賠責保険金75万円が支払われました。
認定理由:
「MRI所見、神経学的検査所見により、症状の医学的説明が可能であり、局部に神経症状を残すものとして14級9号に該当する」
4. 適正な損害額の算定と示談交渉
休業損害:実際の減収実績(月7万円×6ヶ月)を立証し25万円
入通院慰謝料:弁護士基準により75万円
後遺障害慰謝料:14級の基準額110万円
逸失利益:
基礎収入:年収120万円
労働能力喪失率:5%
喪失期間:70歳まで7年間
パート労働者の継続就労意欲と家計への寄与度を考慮し140万円
保険会社との交渉を経て、症状固定から約5ヶ月後に総額300万円で示談成立しました。
成果のポイント
むち打ち症でも適切な医学的立証により14級9号認定は可能
近年認定基準が厳格化していますが、MRI検査と神経学的検査で客観的所見を充実させることで認定を獲得できます。
整形外科医との密接な連携が決定的
弁護士が医師に具体的な検査実施と診断書記載を依頼することで、認定に必要な医学的根拠を整えることができます。
症状の詳細な記録が重要
痛みの日記、職場の証明書、陳述書など、症状の一貫性と日常生活への影響を多角的に立証することが認定のカギとなります。
60代パート労働者でも適正な逸失利益を算定
「高齢だから」「パートだから」という理由で低く評価されがちですが、就労意欲と家計への寄与度を立証することで適正評価を獲得できます。
主治医が「無理」と言っても諦めない
保険会社も医師も後遺障害認定に消極的なことが多いですが、専門的な弁護士のサポートにより認定獲得と大幅増額が可能です。
