企業経営において法的リスクは日々発生しており、適切な対応を怠ると事業の存続に関わる重大な問題に発展する可能性があります。
当事務所では、名古屋地域の企業様に対して、予防法務から緊急時対応まで幅広い法的サービスを提供しております。
契約書チェック・作成支援
契約書作成における一般的な問題点
多くの企業様が契約書の作成において、インターネット上のテンプレートをそのまま使用されているケースを拝見します。しかし、これは極めて危険な行為と言わざるを得ません。なぜなら、「契約を契約書に合わせている」状態となり、実際のビジネス内容と契約書の記載内容に乖離が生じているからです。
契約書は、単なる形式的な書面ではありません。企業間の取引における権利義務関係を明確にし、トラブル発生時の解決指針を示す重要な文書です。テンプレートを使用する場合でも、自社の事業内容、取引の特殊性、リスク要因を十分に検討した上で、必要な修正や追加を行うことが不可欠です。
契約書チェックの重要ポイント
当事務所では、以下の観点から契約書の詳細なチェックを実施いたします:
リスク分析と対策
- ・契約によって何を守りたいのか、何を実現したいのかという目的の明確化
- ・想定されるトラブルとその対処方法の具体化
- ・損害発生時の責任範囲と賠償限度額の適正性
- ・契約解除条件と解除時の処理方法
法的有効性の確認
- ・契約条項の法的有効性と強制力の検証
- ・消費者契約法、独占禁止法等の関連法規への適合性
- ・業界特有の法規制への対応状況
- ・契約条項の解釈に争いが生じる可能性の評価
実務的な運用面での検討
- ・契約履行の実現可能性と具体性
- ・支払条件、納期等の現実的な設定
- ・変更・追加条項の柔軟性
- ・契約管理と更新手続きの効率性
業種別の契約書対応
製造業の場合
- ・製造物責任(PL法)への対応
- ・品質保証と検査基準の明確化
- ・知的財産権の保護と活用
- ・サプライチェーン管理における責任分担
IT・ソフトウェア業
の場合
- ・システム開発における仕様変更と追加費用
- ・データ保護とセキュリティ責任
- ・知的財産権とライセンス条項
- ・SLA(サービスレベル合意)の設定
建設・工事業の場合
- ・追加工事と変更工事の取扱い
- ・工期延長と遅延損害金
- ・安全管理責任と事故時の対応
- ・下請業者との責任関係
債権回収
債権回収における時効管理
債権回収においては、消滅時効の管理が極めて重要です。民法改正により、2020年4月以降に発生した債権については、原則として「権利を行使することができることを知った時から5年間」または「権利を行使することができる時から10年間」のいずれか早い方で時効となります。
ただし、業種や取引内容によって時効期間が異なる場合があります:
短期時効が適用される主な業種
- ・飲食業:1年(飲食代金)
- ・小売業:2年(売掛金)
- ・運送業:1年(運送費)
- ・医療機関:3年(診療費)
時効の完成を阻止するためには、内容証明郵便による督促、支払督促の申立て、訴訟の提起等の法的措置を適時に講じる必要があります。
契約書のない取引の債権回収
建設業や製造業において特に問題となるのが、「契約書のない追加工事」や「口約束での変更作業」に関する債権回収です。
これらのケースでは、以下の証拠収集が重要となります:
証拠となる資料の例
- ・作業指示書、発注書、見積書等の書面
- ・電子メールやFAXでのやり取り記録
- ・作業現場の写真や図面
- ・作業員の作業報告書や日報
- ・取引先担当者との会話の録音記録
効果的な債権回収手順
- 1. 債権の存在と金額の確定
- 2. 取引先の資産状況と支払能力の調査
- 3. 任意の支払交渉(内容証明郵便等)
- 4. 法的措置の検討(支払督促、少額訴訟、通常訴訟)
- 5. 強制執行の準備と実行
分割弁済と債権保全
一括回収が困難な場合の分割弁済においても、以下の点に注意が必要です:
- ・分割弁済合意書の作成による債権の確定
- ・期限の利益喪失条項の設定
- ・連帯保証人や担保の設定
- ・分割金の支払状況の継続的な管理
取引先の倒産対応
倒産予兆の早期発見
取引先の経営状況悪化を早期に察知することが、債権保全の第一歩となります。
以下のような兆候に注意が必要です:
財務面での兆候
- ・支払条件の変更要求(手形期間の延長等)
- ・支払の遅延や分割払いの申し出
- ・銀行借入の条件変更や返済猶予の実施
- ・決算書の提出遅延や内容の急激な悪化
事業面での兆候
- ・主要取引先との取引停止や縮小
- ・従業員の大量退職や給与遅配
- ・事業所の縮小や移転
- ・代表者の行動変化(連絡が取りにくくなる等)
仮差押えの戦略的活用
倒産が予測される取引先に対しては、迅速な仮差押えの実行が債権保全の鍵となります。
仮差押えの対象財産
- ・銀行預金(複数行への同時申立て)
- ・売掛金等の債権
- ・不動産
- ・機械設備や商品在庫
効果的な仮差押えの
タイミング
- ・月末・月初の入金時期
- ・大口取引の決済時期
- ・融資実行直後
- ・不動産売却前
仮差押えの注意点
- ・被保全債権の疎明資料の準備
- ・保証金の算定と準備
- ・複数の財産への同時申立て
- ・執行後の本訴提起の準備
倒産手続きへの対応
取引先が倒産手続きに入った場合の対応方法:
破産手続きの場合
- ・債権届出書の適時提出
- ・別除権の行使(担保権がある場合)
- ・債権者集会への参加
- ・配当手続きへの対応
民事再生手続きの場合
- ・再生計画案への意見表明
- ・担保権の取扱いの検討
- ・継続取引の判断
風評被害・誹謗中傷対策
インターネット上の風評被害の現状
近年、SNSや口コミサイト、匿名掲示板等での企業に対する誹謗中傷や風評被害が深刻な問題となっています。一度インターネット上に拡散された情報は完全な削除が困難であり、企業の信用やブランドイメージに長期的な悪影響を与える可能性があります。
風評被害の具体例
- ・商品・サービスに関する虚偽の情報
- ・従業員の個人的行為を企業の問題として拡散
- ・競合他社による意図的な中傷
- ・退職者による内部情報の漏洩や歪曲
発信者情報開示の手続き
誹謗中傷の投稿者を特定するための法的手続き:
プロバイダ責任制限法に基づく開示請求
- 1. コンテンツプロバイダへの発信者情報開示請求
- 2. 経由プロバイダへの発信者情報開示請求
- 3. 必要に応じた仮処分申立て
- 4. 発信者特定後の損害賠償請求
開示請求の要件
- ・権利侵害の明確性
- ・損害の発生と因果関係
- ・発信者情報を知る正当な理由
削除請求と損害賠償
投稿削除の方法
- ・サイト運営者への任意の削除依頼
- ・削除仮処分の申立て
- ・検索結果からの削除要請
損害賠償の範囲
- ・精神的損害(慰謝料)
- ・経済的損害(売上減少、取引停止等)
- ・信用回復費用
- ・弁護士費用
当事務所では、IT技術の発達により生まれたこれらの新しい形態のトラブルに対し、豊富な経験と専門知識を活かした対応を行っております。
労働トラブル(法人向け)
労働トラブルの予防的対応
労働トラブルの多くは、就業規則や労働条件の不備、労務管理の不適切さに起因します。
トラブル発生後の対応よりも、事前の予防策を講じることが重要です。
就業規則の整備
- ・労働基準法等の最新法令への適合
- ・服務規律と懲戒処分の明確化
- ・休暇制度と労働時間管理
- ・人事評価と賃金制度
労務管理体制の構築
- ・労働時間の適正な把握と管理
- ・36協定の適切な締結と運用
- ・安全衛生管理体制の整備
- ・ハラスメント防止対策
具体的な労働トラブルへの対応
未払残業代請求への対応
- ・労働時間記録の精査と反証
- ・管理監督者該当性の検討
- ・固定残業代制度の有効性確認
- ・時効や消滅時効の主張
解雇・退職トラブル
- ・解雇の有効性(客観的合理的理由と社会通念上の相当性)
- ・解雇予告と解雇予告手当
- ・退職勧奨の適法性
- ・競業避止義務の設定と有効性
労働審判・労働訴訟
への対応
- ・迅速な証拠収集と整理
- ・効果的な反論・主張の構築
- ・和解による早期解決の検討
- ・訴訟移行時の戦略立案
顧問契約
顧問弁護士の必要性
現代の企業経営において、法的リスクは避けて通れない要素となっています。
特に以下のような状況では、顧問弁護士の存在が企業の命運を左右することがあります:
コンプライアンス強化の必要性
- ・法改正への迅速な対応
- ・業界特有の規制への適合
- ・内部統制システムの構築
- ・企業倫理とCSRの推進
事業リスクの多様化
- ・グローバル化に伴う法的リスク
- ・IT化による新たな法的課題
- ・環境規制の強化
- ・労働法制の複雑化
顧問契約のメリット
即座の法的サポート
- ・緊急時の迅速な相談対応
- ・契約締結前の事前チェック
- ・トラブル発生時の初期対応指導
- ・継続的な法的アドバイス
コスト効率性
- ・月額固定費用による予算管理
- ・スポット相談料金との比較優位
- ・予防法務による将来的なコスト削減
- ・法的トラブルの早期解決
企業内情への精通
- ・事業内容と組織体制の理解
- ・過去の相談履歴の蓄積
- ・継続的な関係による信頼構築
- ・カスタマイズされた法的サービス
顧問契約の具体的サービス内容
月次サービス
- ・法律相談(電話・メール・面談)
- ・契約書のチェックと作成指導
- ・法改正情報の提供
- ・社内研修の実施
緊急時対応
- ・24時間以内の初期対応
- ・危機管理のアドバイス
- ・記者会見等の対応指導
- ・関係機関との連絡調整
定期的なリーガルチェック
- ・事業運営の法的適合性確認
- ・就業規則等の社内規程見直し
- ・取引基本契約の定期的更新
- ・新規事業の法的検討
顧問料体系
基本顧問料
月額30,000円〜(税抜)
- ・月3時間までの法律相談
- ・契約書チェック(月3件まで)
- ・法改正情報の提供
- ・緊急時の初期対応
サービス内容に応じた料金設定
- ・企業規模(従業員数、売上高)
- ・相談頻度と内容の複雑さ
- ・業種特有のリスク要因
- ・追加サービスの利用状況
新規開業応援プラン
開業5年目まで月額10,000円(税抜)
創業間もない企業様の法的サポートを充実させるため、特別料金にてサービスを提供いたします。
対象企業
- ・設立から5年以内の企業
- ・従業員20名以下の企業
- ・年商1億円以下の企業
サービス内容
- ・月2時間までの法律相談
- ・契約書チェック(月2件まで)
- ・就業規則作成のサポート
- ・各種許認可申請のアドバイス
成長段階に応じたサポート
- ・事業拡大時の法的検討
- ・資金調達における法的支援
- ・人員増加に伴う労務管理
- ・新規取引先との契約締結支援
企業の成長とともに法的ニーズも変化いたします。当事務所では、企業様の発展段階に応じた最適な法的サービスを提供し、持続的な成長をサポートいたします。
法的問題が発生してからの対応では、時間とコストが大幅に増加し、企業活動に重大な支障をきたす可能性があります。予防法務の観点から、ぜひ顧問契約をご検討ください。初回のご相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。